発達障害がある人たちは周りにたくさんいる

前回、これまでの本と違う点として子どもたちを3つのタイプとして説明していることを書きました。また、発達障害を障害や病気という概念で捉えないことも書きました。
もともとは、障害がある子どもたちとかかわるなかで考えたことなのですが、地域の付き合いのなかでも論を検証してきました。
中・高年である私の周りには、自分勝手で付き合いが悪いと陰で批評されている同世代の人がいます。心配性でくよくよと悩みがちな同世代の人もいます。何をするにも時間と手間がかかる同世代の人もいます。私の論で言えば、困っている子どもたちの3つのタイプに当てはまる人たちです。しかし、それらの人たちは、一家の大黒柱として立派に家族を養っています。誰も、障害があるとは思っていません。ただ、地域での付き合いということでは、いろいろな問題を抱えているだけです。その人の考え方や行動が、少しだけ地域でトラブルを起こすだけなのです。
私自身も、あるときの人間ドックでお医者様から、「あなたは頭が悪いと言われたことはありませんか?」と言われたことがあります。百マス計算みたいな課題が人よりできなかったからです。私は、心のなかで「頭の良さは、あなた(医者)のような良さと、あなたとは違う良さがあるんだ」と叫びました。
「知的な力を、一つの力と考えない。少なくても、二つの力があり、二つの力の有り様がその人の行動を左右している。」それが私の論のもとになっています。そのように考えると、自分の周りにいる人たちのことが何となく理解できるようになります。そして、理解できるようになると、発達障害がある人たちは周りにたくさんいると思うようになります。
ただし、発達障害を特別視しないため、つまり、個性と表現される一人一人の違いとして発達障害を理解できるようになるために必要な知恵だと思っています。